森のキッチンソースができるまで Andante編

Vol.01
福岡のジャム屋さん「アンダンテ」との出会い

ちょっと贅沢な朝を演出するための、とっておき商品をセレクトしたブランド「L-me」(エルミー)の新商品「森のキッチンソース」。キラキラとした爽やかな果実のソースはまるで森からの贈り物のよう。これは、福岡のジャム屋さん「アンダンテ」のホワイトラベル製品。そしてこの「森のキッチンソース」は、なんと、歯科衛生士さんが作った虫歯になりにくいソースなのです。

今回は「L-me」のプロジェクトメンバーである株式会社ファントムのクリエイティブチームと製造元である福岡のジャム屋さん「アンダンテ」の代表・岩佐ちえみさんへのインタビューをお届けします。

パッケージ いちご、ブルーベリー、桃の3種類がセットになった、
心踊るパッケージでお届け。

〜ひょんなことから始まったジャム作り〜
TALK MEMBERS

株式会社ファントム クリエイティブチーム 下岡亮太 株式会社ファントム クリエイティブチーム 古賀静里菜
株式会社ファントム クリエイティブチーム

下岡亮太

古賀静里菜

株式会社アンダンテ 岩佐ちえみ社長
株式会社アンダンテ
岩佐ちえみ社長

01|歯科衛生士でジャム屋さん!?

下岡 「アンダンテ」の岩佐社長は、歯科衛生士としてのお仕事もされていて、同時に「アンダンテ」というジャム屋さんの社長さんでいらっしゃいます。

岩佐 「アンダンテ」と歯科医院の建物は隣同士なんです。

―歯科衛生さんが作っているジャムとフルーツソースだなんて初めて聞きました。そもそもなぜジャムを作っているのでしょうか。

岩佐 かつて私は塾講師で、三男が幼稚園に入った40歳のタイミングで歯科衛生士の資格を取りました。もともと歯科医院の隣の建物は、(歯科医師の)主人の母が1人で住んでいて、亡くなって空き家になったことから1階をジャム作りする方に貸していたんです。でも、ジャムがいっぱいできあがっているのに、そのままになっていたので、もったいないなと思って、 知り合いのパン屋さんに「どうですか?」と頼んでいました。そうこうしているうちに、その方がやめられて…。その後にパン屋さんから卸して欲しいと注文が来たんです。

アンダンテ 岩佐ちえみ社長

―ジャムを作る方がいなくなってから注文がきてしまったと。

岩佐 そうです(笑)。断るのも申し訳ないのでがんばってジャムを作る練習をして、歯科衛生士をしながら作ったジャムをパン屋さんに卸していました。それが5年ぐらい前の話です。

―必要に迫られてジャム作りを始めたわけですね。

岩佐 はい。そして、「自分にしかできないジャムは何だろう?」と考えた時に、ジャムにお砂糖を使うことがずっと気になっていたので、砂糖を使わないジャムを思い付きました。砂糖を使ってジャムを作ると歯科衛生士なのに虫歯の原因を作っているような気がして…。

アンダンテ 岩佐ちえみ社長

02|虫歯になりにくいジャムを開発

―お砂糖ではなく何を使っているのですか?

岩佐 オリゴ糖です。低う蝕性(う蝕=虫歯)の甘味料はいくつかあって、キシリトールやエリスリトール、オリゴ糖などです。 いろいろ試してみたのですが、キシリトールはとても高くて商品にはできない、他の糖も砂糖が結晶化するといった問題が起きたのですが、大丈夫だったのがオリゴ糖でした。

―味も納得のいくものだったんですか?

岩佐 はい。お砂糖ってそれだけで美味しいですよね。でも、オリゴ糖はただ甘いだけで美味しさがないんです。けれどジャムにしたら、果物の味だけが残るような甘ったるくないジャムができあがったんです!

―なるほど、オリゴ糖は果物の味を邪魔しない素晴らしい素材だったわけですね。

岩佐 ただ欠点もあって・・・粘りがないんです。

ソース使用イメージ

―「森のキッチンソース」は、まさにオリゴ糖の良さが全部出たみたいなサラサラ感です。

岩佐 そうですね。ソースはまさにぴったりですね。

下岡 ペクチンという粘り気を出す添加物を、他のメーカーさんは入れていることが多いですよね。

岩佐 もちろん添加物を入れたら固まりますが、できるだけ自然な形で作りたいので使っていません。というのも、主人がラーメンやカレーなど不健康なものばかり好きな人で、お野菜を食べてくれるよう食に関してはだいぶ勉強をしました。子育てでも食事は気をつけてきたので、昔から添加物はできるだけ使いたくない気持ちを持っています。

ソース使用イメージ

03|とれ過ぎた野菜や果物をジャムに

アンダンテ 岩佐ちえみ社長

―「森のキッチンソース」の原材料は、果物とオリゴ糖シロップとレモンと非常にシンプルで、消費者としては安心することができました。果物も九州産のものを使っていらっしゃいますね。

岩佐 「アンダンテ」の近所では、果物を栽培している農家さんが多いんです。若い頃から捨てられている果物を結構見てきていて…。加工するより捨てた方が早いとおっしゃるんですよね。

―九州ではそんなにたくさんの果物が取れるのですね。

岩佐 久留米は巨峰ぶどうの発祥の地といわれていますし、桃もたくさん採れて美味しいですよ。でも、桃は痛みやすくて半分以上は市場に出せないそうです。

―もしかして、そういったものを利用されていますか?

岩佐 そうです。加工品として売っていただいてジャムにしています。捨てられている果物や野菜を探しては、よそに比べたらだいぶ小さい鍋でちょこちょこと煮てジャムやソースを作っているので常に13種類ぐらいはあります。

―フードロスにも貢献されていますね。

岩佐 そうなんです。だから、農家の方には捨てないでくださいって言いたいです。

―野菜ソムリエの方も開発に関わっているとか。

岩佐 最初にジャムを作るとき、知り合いの野菜ソムリエの方にアドバイスをいただきました。 どういうジャムにすると良いか、どれくらいの量が食べやすいか、ジャムになる野菜も教えていただいて。人参は味がちょっと強いから 何かを混ぜた方がいいなど、開発の時にアドバイスをすごくいただきました。ジャムって最後は冷蔵庫の隅っこで残ってるイメージがあったので、最後まで使えるようドレッシングなどにも使えるおかずのようなジャムを作りたかったんです。

アンダンテ 岩佐ちえみ社長

―私もいただきましたが美味しかったです。3年の間で販路を広げられて、ファントムさんが運営している大阪のパン屋さん「ヌーベルマリー(Nouvelle Mariee)もジャムを仕入れているそうですね。ファントムさんは「アンダンテ」さんのジャムをどうやって知ったのですか?

下岡 新しいものを探したり、取り入れることが得意なスタッフがいて、普通のジャムとは一味違う「アンダンテ」さんのジャムを魅力に思ったようです。それから、「ヌーベルマリー」にジャムを入れてもらうようになりました。

04|ある日「朝」というキーワードが降ってきた

下岡 「OHAyou!ジャム」というネーミングやパッケージデザインは、私を含めたクリエイティブチームが手掛けました。それができあがって「ヌーベルマリー」で販売し始めて、そのあとに「L-me」というブランドを作って、そこの第1商品に据えさせていただきました。

―「L-me」のブランドコンセプトを決めるにあたって、「OHAyou!ジャム」ありきだったんですか?

下岡 実は、突然自分自身の頭に「朝」というキーワードがおりてきたんです。誰もが迎える朝の時間には、いろんな朝があって、そこをワンランク上げて、 幸せな気持ちにするサイトを作りたいと思いました。

ファントム 下岡亮太

―てっきり、パン屋さんを展開されているから、朝といえばパンだよねっていうので、 そこから来てると思ったらそうではない。

下岡 僕自身、朝が好きということもあります。朝は心も何もかもみんな平等にリセットされた時間というか、「これから始まる」空気感がありますよね。朝のスタートが良ければ、結構いい1日になると思っていて。何か1つの共通したテーマで探しに来てくれるサイトを作れないかなと思って「朝」にフォーカスしてみました。

―ジャムもソースもホワイトラベルですね。

下岡 パッケージ作りつつみんなで食べ比べをしたんですけれども、13種類すべて特徴が異なるし、ブルーベリーにしてもピーチにしても一貫して優しい。そしてストレートに素材が表現されているところに惚れています。東京のオフィスではトマトが1番人気です。「L-me」は朝を大切にするというコンセプトなので、朝1番はやっぱり体に優しい、ストレートな混じりっ気のないピュアなものを体に取り入れようということを初めに決めました。

―ほんとにその通りで食べて気持ちが柔らかくなるような不思議な感覚になりました。

古賀 私がアンダンテさんのジャムでお気に入りなところは、そのまま食べてもおいしいところです!私は普段ジャムを食べないんです。でも「アンダンテ」さんのジャムは、疲れた時に糖分補給みたいな感じで、スプーンですくって食べられちゃうんです。優しさをさっと補給できるっていう点と、果物は買うと高いのでジャムとして果物を摂取できところがすごく気に入ってます。

岩佐 ありがとうございます!

―ジャンクな生活をされているとおっしゃっていたご主人の評価はいかがですか?

岩佐 あ、いいことを言ったんですよ。主人はですね、私の作るジャムを和食のようだと言います。

下岡 素材の味を活かしてるってことですよね。

岩佐 そうですね。「それ使わせてもらいます!」って言いました(笑)。

05|料理にも使えるキッチンソース

―美味しそう!そういえば「森のキッチンソース」の名前の由来は何でしょう?

古賀 森で取れた果実をそのままソースにしたような優しい味わいからインスピレーションを得ました。森の奥にあるキッチンで動物たちが自分たちで採った果物や野菜を使って、ソースを作ってお届けするというのがコンセプトです。

岩佐 キッチンソースというネーミングもありますし、お料理に使っても良さそうですよね。例えば、お魚やお肉を焼いて、キッチンソースを使ったソースを作ったらご馳走に見えるみたいな。

古賀 料理でも使いたいです!

ファントム 古賀静里菜

―いいですね。ファントムさんでは今どんな食べ方をしていますか?

古賀 以前にアンダンテさんにお聞きしたチーズケーキにいちごとブルーベリーの2種類のソースをかけて食べる「贅沢食べ」は大好評です。コンビニで買ったチーズケーキが高級デザートのようになります。ソースを冷たい紅茶やお水やサイダーで割って、フルーツティーのように飲むのも美味しいです!

ファントム 古賀静里菜

―確かに、夏はソーダとか炭酸で割って飲むと良さそうですね。

古賀 おすすめはホットいちごミルクで、最高に美味しいです。牛乳にいちごソースを入れたホットイチゴソースミルク!

―それはおいしそう!「森のキッチン」ソースを含めて、どんな方に「L-me」の商品を試してもらいたいですか。

古賀 女性や体に気を使っている方には、そのまま果実を取り入れるぐらいのソース感が、すごくオススメです。それから、ギフト用としてもこだわって作っています。お友達に送ったり、ママ会でお土産として持って行ったり、おしゃれなパッケージをぱっと開いて果物やヨーグルトにさっとかけて振る舞えるといいなと思っています。

岩佐 若い頃は塾の学習塾の講師をしていて、歯科衛生士になって、今この歳で物を売ることになった時に、すごく難しいなと思っていたんですけど、良い商品を作れば、こうして売りたいと言ってくださる方がいて買ってくださる方がいる。今、すごく楽しいですね。

―たくさんの方にこの良さが伝わるとうれしいですね。今日はありがとうございました。

※次回のVol.02では、イラストレーターさんを交えたパッケージについてのインタビューをお届けする予定です。

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