ちょっと贅沢な朝を演出するための、とっておき商品をセレクトしたブランド「L-me」(エルミー)。ジャムに続いて、歯科衛生士さんが作った虫歯になりにくい「森のキッチンソース」をリリースしました。
今回は、森の動物たちのイラストレーションを手がけてくださった熊木まりこさんにお話を伺います。
第一回目は「森のキッチンソース」の商品そのものをご紹介しましたが、第二回目は他ではなかなか見かけない独特のパッケージがどう生まれたかをお届けします。
イラストレーター/熊木まりこさん
1988年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。
イラストレーション青山塾2年通塾後フリーに。
ラフでのびのびとしたタッチで、色鮮やかで暖かみのある
風景・人物などを描く。
海外旅行(45ヵ国以上)とサウナ・温泉が大好き。
https://marikokumaki.com/top
下岡亮太
古賀静里菜
―熊木さんはこの商品とパッケージの形についてどう思われましたか。
熊木 すごくいいなと思いました。私は朝が苦手な方で気分があまり上向きじゃないんです。コンセプトの概要を聞いた時に、すてきな取り組みだなと思いました。夜のリラックスグッズは多いけれど、朝を充実させる視点は少ないと思うので。
―商品自体はいかがですか。お味見はされました?
熊木 果実の味わいが残っていて贅沢で、朝からテンション上げていけました。
古賀 うれしい。
下岡 砂糖や添加物を使わず本当の果実のうまみそのままなんです。がっつりと食べたい方にとっては物足りないかもしれないですが、ジャムは九州のとある高級ホテルの朝食用として採用されました。ホテル用に少しアレンジをしたそうですが、一流のシェフの舌にも止まったということで、自信を持っていける商品だと思っています。
―こちらはそのソースバージョンということで。森の動物たちが作っていますから。
古賀 はい、そうなんです。
―熊木さんは古賀さんから依頼を受けて、どんなイメージがわきましたか?
熊木 朝の明るいイメージを推したくて、太陽の白い光を表現しています。空の色は青空だけどあまり濃すぎないスカイブルーがいいかなと思いました。ちょっと大人向けの商品でもあるので、落ち着いた朝の色合いのバランスを考えましたね。
―木の周囲が少し白く残っているのは、朝の雰囲気を出すためなんですね。
熊木 そうですね、そのあたりは意識しています。
―パッと開くと1枚の絵が現れて、お家に飾れるアイデアは古賀さんが発案されたのですよね。これが仕上がってきた時の気持ちを教えてください。
古賀 もうかわいかったですね。ここにたどり着くまで何回もやり取りさせていただいて……。「違うんだ、もっと朝なんだ」とか、「もっとエッジの効いた感じなんだ」みたいな。熊木さんと色々キャッチボールをしながら、たどり着いたんですけど、社内でもすごく好評です。お客様には、お渡した瞬間に悲鳴が出るぐらい喜んでくださるんですよ。
―わかります。
古賀 熊木さんの味わいが、しっかり朝とマッチングしたと思っています。
―商品部分の面はキッチンソースの果実をイメージしてくださいという感じだったんですか。
古賀 そうですね、果物を描いていただいて、そのイラストを素材にしてデザインチームが配置しました。イラストがすごくよかったので、クリエイティブのメンバー内でいろんな意見が出て、入稿のギリギリまでブラッシュアップしました。
―文字も熊木さんですよね。
熊木 「森のキッチンソース」と書いてあるところはそうです。何回も「森のキッチンソース」と書いて、1番いいものを組み合わせました。
古賀 表紙もデザイン自体はこちらでやらせていただきました。イラストの良さをどうやってお伝えしようかとかなり試行錯誤してたどり着いています。
―「猫のマーシャが月曜に歩いたイチゴ畑の優しい味わい」といったキャッチコピーは最初からですか。
古賀 はい。これは私が先に作らせていただいて、ネコとクマとウサギのキャラクターを設定した上で名前付きで「こういう感じの性格の子です」とお伝えしました。それを元にイラストを描いて頂いています。
熊木 最初に出したラフはその動物の内面を前に出してしまってキャラものっぽくしてしまったところがあります。何度かやりとりをするうちに、そこまでキャラクターを前にバンって出さなくても、そういう子なんだなっていう気持ちで描くと、気持ちが自然と入るんだなと思いました。最終的にキャラっぽさを抑えたイラストになりました。動物の背景、性格の背景があると自分も愛着が湧きますね。
―ちなみに、それぞれどんな性格ですか。
古賀 ウサギの子はおおらかでのんびり屋でマイペースでいねむり屋さん。でも起きると行動派。桃太郎の桃が流れる夢を見ながら、桃の香りに包まれて気持ちよく眠っている設定です。
―おもしろいですね。クマのシャルルは?
古賀 シャルルは夜ワインを飲むタイプ。無口だけど優しくて、こだわりが強くて素材を大事にします。
―マーシャも教えてもらっていいですか。
古賀 マーシャはおすましさんの気まぐれ屋さん。いちご畑をお散歩しています。
―そこまで考えて発注されたんですね。
古賀 逆にガチガチすぎて想像しづらかったかもしれないと思ったんですけど。
熊木 私はそのイメージを大切にしたいなと思って、最初はキャラ性を持たせすぎちゃったところもありましたけど。
古賀 細かすぎて逆に振り回してしまったかなと思っています。
熊木 いえ、こだわりを感じました。他の仕事でも「この動物の性格は」とまでは今まであまり言われたことがなかったので、楽しかったです。
―完成したものを見て皆さんいかがでしたか。
熊木 納品の時点で見えていた完成図よりもはるかに素敵な仕上がりになっていて、すごくうれしかったです。
古賀 もう頼んでよかったなと思いました。熊木さんのイラストあってこその温もりあるジャムの味わいが伝わると思うので、本当にパッケージと商品との親和性が高いものになったなと大満足しております。
下岡 もし可能だったら、熊木さんと一緒に何か企画が今後できたらなっていう風に正直思いました。できたら「L-me」の中で熊木さんのアイテムを増やしていきたいと、率直にそんな気持ちになっています。
―ぜひ商品化してほしいですね。熊木さんのイラストを見て、心が弱っている時にふと和むような商品があったらすごく良いなと思うので期待しています。
熊木 すごくうれしいです。私も人のために役に立ちたいという気持ちがありますから。
下岡 本日はありがとうございました。
インタビュアー/宗我部香